Sunset Cellarsのメインラベルデザイン
こんにちは、Spinners の元山@kudakurageです。
以前よりカリフォルニアのマイクロ・ファミリー・ワイナリー「Sunset Cellars」をデザイン面でお手伝いさせていただいております。これまでもロゼワインの「HYDRANGEA」やChardonnayの「MOONLIGHT」のラベルデザインを作成したり、Owner’s Club向けに配送している定期購入に同梱しているワインカードのデザインなどお手伝いしています。 オーナーメンバーもお客さまにも喜んでいただき、今回はいよいよメインでリリースしている赤ワインのシリーズのラベルデザインを作成しました。
まずは2020年冬の配送のSYRAHのラベルデザインをということでしたが、Sunset Cellarsは様々な葡萄の品種でワインを造っており、それらはSunset Cellarsのメインのシリーズとしてこれまでもリリースされてきました。
これらのワインはSunset Cellarsの顔でもあるので、単にワインラベルのデザインとしてではなく、Sunset Cellarsのブランドデザインとして、ワインを楽しんで頂いている方々と今後どういうコミュニケーションをとっていくのかという視点でアイディアを検討していきました。
Sunset Cellarsの「2つの世代がつなぐワインへの想い」より
Sunset Cellarsのワイン造りに対するスタイルは、古き良きナパ・ヴァレーの伝統を今に伝える「媚びない」レガシーなカリフォルニア・スタイルの味造りです。昔からの伝統を重んじつつ、そこに新しいアプローチも加えつつ、より楽しんでもらえる体験を提供するというのがSunset Cellarsの特徴です。ワイナリーのチームメンバーは今の時代を象徴するような、多様性をもったメンバーで、それぞれの強みや個性を活かした運営を行っています。
今回のラベルデザインにおいても、過去の伝統を大切にしつつ、今後Sunset Cellarsのブランドを最大限伝えていけるようなものにできればと検討しました。
フラッグシップワインである「Barbera」は、2018年度を含む複数年度の「California State Fair」において、ナパ地区Barbera単品種の最優秀賞を受賞し続けています。
基本的には今までもシンボルとして使用されていた、Sunset Cellarsのロゴの「S」をアイコンとして引き続き使用することにしました。Sunset Cellarsのロゴの書体はそれ自体が特徴的ですし、今までも愛されてきたものなので、これまでと同じようにコミュニケーションし、ブランドを象徴するものとしては欠かせないと思いました。
その上で、より洗練された印象や高級感、新しさを感じさせるようなものを検討していきました。
初期のデザインアイディアの一部
今回もグラフィックの色校正サービスを利用しつつ、検討しているアイディアを実際に試作して検討したりもしました。今回は箔押しも当初より試してみたいと考えていたので、箔押しを想定したメタルステッカーの試作などもたくさんしています。(同時期にHYDRANGEAのスパークリングワインも配送予定でしたので、そちらもプレミアム感を演出するために箔押しを想定した試作をしています。)
初期のデザインの試作検討
いくつかのアイディアを検討しつつ、当初はより「S」の形を強調するように、シェイプに合わせてカットしたようなラベルのデザインを中心に検討していました。その後コアメンバーの話も聞きつつ、このデザインは少し安っぽい印象もあるとのことで、結果的にはより今までのラベルに近いカタチの案をベースに検討することになりました。 (とはいえ、最初の「S」シェイプに合わせてカットしたデザイン案も好評を得ていたので、その後リーズナブルなラインナップとしてリリースしたSauvignon Blancで採用することになりました。)
当初はSと年表記と色を強調し見分けれるようにした案を検討
当初のアイディアとしては、「S」のシンボルと年代、そしてラベルカラーのみを強調したデザインで、日本らしくシンプルながらもSunset Cellarsのシンボルを強調しつつ、色と年代でパッと見分けられるというのを考えていました。 けれど、流石にまだまだ小規模なワイナリーなので攻めすぎているということで、SunsetのロゴやVariety(品種)やAVA(栽培地域名)もしっかりと明確に表示する案を検討することに。
サイズや細かいスタイルを数パターン作って検討
細かいサイズやフォントファミリーなども細かく数パターン試しつつ、調整していきました。最終的には、Sunset Cellarsのロゴタイプに合うフォントファミリーを選定しつつ、明暗によって奥行き感をもたらせるようなデザインにしました。
日本の伝統色を使用したカラー展開の試作
ラベルのベースカラーに関しては、当初より品種によって様々なカラーに展開していくことを検討していましたが、コアメンバーにも日本人が多いこともあり、カリフォルニアの良さと日本の良さをどちらも取り入れていくという意味で、日本の伝統色を使用した展開にしていくことにしました。 また、高級感を出すという意味でも「S」の部分は箔押しにし、多色展開も踏まえてどんな色にも相性がいい金色を使用しています。
色の認識合わせに使用しているDICカラーガイド
ちなみに私は日本で、コアメンバーはカリフォルニアで主に活動しているということもあり、基本的にはリモートでの作業で進めています。デジタルなデザインとは違い、ラベルデザインのような物理的なデザインは実際に手にとったときの印象というのがすごく重要になってきます。
例えば、紙の質感や色の感じというのはどうしても写真や動画では正しく伝わりづらいところがあります。そのため、印刷用の紙サンプルやカラーサンプル(DICカラー色見本帳)をカリフォルニア側のメンバーにも持ってもらい、それをベースに議論をすることで円滑な意思決定をしています。 DICカラー色見本帳には日本の伝統色のシリーズがあり、これをベースに色の選定を行っていることが多いです。
小島ラベル印刷さんの制作事例にもご掲載いただいております
印刷においては箔押しのラベルシールをお願いすることもあり、1からお願いできるところを探しました。最終的には小島ラベル印刷さんにお願いすることになり、シール素材の相談などもさせていただきつつ、フレキシブルに制作をお手伝いいただいています。いつもありがとうございます!
最初に制作したSYRAHのデザインには改善点も多くありました。例えば、シールの粘着素材が弱すぎたために冷やしたときや濡れたときに剥がれやすかったり、VarietyやAVAのテキストサイズが法的な基準のサイズよりも小さいなど(正確には裏面のラベルにて法的に必要な情報などをすべて入れているので、表面のラベルに関してはサイズを準拠させる必要はないのですが)そういった部分を徐々に調整しました。紙質も上質紙から、よりテクスチャのある素材に変更したりと徐々に改善していっています。
今後もより良い体験を提供できるようデザイン面含めて改善していきます。Sunset Cellarsはツタ主という面白いバイン・オーナーズ・クラブ(定期購入)も提供していますので、もし興味を持った方はぜひご覧いただければと思います。
Sunset Cellarsのデザインに関しては、デザイン系ポッドキャスト resize.fm や、そのアフタートーク(YouTubeのみで配信)でも時々話しているので、もしよかったら聞いてみてください。